40年来の付合いの仲間たちが毎年年末に旅行に出掛けることが慣習となっており、私もよほど仕事がギリギリまで押してこない限り、参加するようにしています。
もともとはさらに古い仲間たちの集まりで、彼らが学生時代に子どもたちを集めたキャンプを主催するようになり、その子どもたちがやがて主催者側にまわり、いつか初代メンバーー子どもたちも加わり、といった息の長いグループです。
わたしがその仲間に加わったのは、高校を卒業して入植した栃木県大田原市の自然農場でのこと。
友人に紹介されて訪ねてきた彼らが、農場に泊まって援農したりキャンプを張ったりするようになって以来の付合いとなります。今では私の山元町での活動で協働してくれたり支援してくれたりする頼もしい仲間たちでもあります。
そして昨年末の旅行先に選ばれたのが栃木県の那須。
当然ながら、那須農場に行ってみないかと言うことになりました。
といっても私が最後に訪れてからすでに35年。
入植者が何度か変わったという話は人づてに聞いていましたが、今の様子は誰一人知りません。記憶を頼りに道をたどり、農場への凸凹道を進んでいくとさすがに当時の記憶が戻ってきます。
たどり着いた建物の側には幸い車が停まっていて、
人の気配もありました。
少し思い切って玄関を開けてみたところ、奥から男性が一人出て来られました。
「40年ほど前ここでお世話になったことのある者です。近くまで立ち寄ったもので…」
男性は少し驚いた様子で、
わたしの名を訊ねます。
ご存知の筈は無いだろうと思いつつ自己紹介すると、
「あ、向井さんですか。久しぶりです。僕、○○です!」
と嬉しそうに頭を下げた彼は、なんと当時まだ小学生だった農場主の息子さんだったのでした。
今では営農する人が居なくなり、神奈川から彼が時々来ては管理をしているとのこと。たまたまその日に訊ねることが出来たのも縁だと感じました。
その後、農場でどのようなことが起こり、東日本大震災の被害、福島第一事故による影響など、様々なお話を伺い、仲間とぐるりと農場を巡って記憶を掘り起こし…。
そして 息子さんとは再会を約束して別れたのでした。
那須農場は今の私がここに居る、
その原点のような場所。
当時の仲間と訪ねて当時の知り合いに出会えたことが、この先の生き方に少なからず影響を与えるだろうと、密かに予感した一日でした。