故人が愛した天然の素材を使った『お墓』の製作
一年前に他界されたS様のご遺族から依頼を受けて、新しいお墓を作ることになりました。
S様には生前からわたし自身大変お世話になりましたが、とても個性的な方で自らレンガを敷いてコミュニティスペースを作って運営をされたり、ご家族と様々なイベントを催されたりしてきました。
一方でとても頑固な方で、常識に捉われない型破りなお人柄が多くの人々に慕われたものでした。
そのS様の個性を生かしたお墓づくりということでご遺族と話し合った結果、従来の仏式のお墓ではなく娘さんが嫁がれたアイルランドの、その聖地でみられるような石材と植物を多用したお墓をデザインすることにしました。
使用した石材は気良石、鉄平石、ベルギー産のアルデンヌ、インド産のムーンストーンといったところ。足元も鉄平石の乱張りのほか、小砂利をウレタン樹脂で固めた舗装を施して歩きやすく、かつ明るいものにしました。
骨壺を収める部屋は暗い地下ではなく地上部が良いと考え、石組みのドームとしました。ムーンストーンで扉を製作して錠を取付けました。
周囲は少し荒々しい気良石の小端積み花壇。ここは季節ごとに花を楽しめる低木やハーブ、宿根草で埋め尽くしました。切り花と違って、花の美しい期間が格段に長くなります。
何よりも人が訪ねて来ることを楽しみにしていたS桟に喜んでいただきたく、楽に8人は座れるベンチもアイアンウッドで製作。
お披露目となる一年祭の時には大勢の方が集まり、口々に「変わってるけどSさんらしくていいね」とのお褒めの言葉を頂戴しました。